ホームページの制作、ロゴやバナーのデザイン、イラストの制作。作る側の仕事は、制作物を納品して終わりではなく、その制作物が誰のもので、どこまで使ってよいかまでが取引の内容です。このガイドでは、アトラス行政書士法人がこれまで作成・レビューしてきたホームページ制作・保守の契約書、デザイン・ロゴ・イラストの制作契約、依頼規約、キャラクターのライセンス契約、外注先との業務委託契約の実例と、条文の一次確認をもとに、Web制作会社、フリーランスのWebデザイナー、デザイナー、イラストレーターが、契約で決めておきたいことをテーマごとに詳しく整理しています。

ホームページ制作を受ける方

Webサイトを表示したパソコンが置かれた作業机

どこまで作るかを、契約書と仕様書で決める

ホームページ制作の契約は、題名が業務委託契約書でも、完成したサイトを納品して報酬を受け取るなら中身は請負です。報酬は、特約がなければ引渡しと同時に支払われます。

ページ数、機能、原稿と素材の担当、修正の回数、検収の期間を決めておかないと、制作の途中で範囲が膨らみ、完成の時期も報酬の時期も決まりません。

トラブル・保守・月額制作が心配な方

複数のモニターに向かって作業をする人

終わらない修正と、途中解約に備える

修正が終わらない、検収してもらえない、途中でキャンセルされた。制作のトラブルの多くは、契約の時点で決めていなかったことから起こります。

制作費0円・月額制の契約では、最低契約期間の前に解約されたときの精算と、解約後のサイトやドメインの扱いを決めておくことが欠かせません。

著作権・ロゴの扱いを決めたい方

紙にデザインのスケッチを描く手元

何を移し、何を残すかを決める

著作権を譲渡するなら、翻案権など(27条)と二次的著作物の利用に関する権利(28条)を特に書き、著作者人格権を行使しない旨を定めます。譲渡しないなら、利用の範囲を決めて許諾します。

ロゴは、著作物と認められないことがあり、発注者が商標として登録することも多い制作物です。ボツ案の扱いも決めておきます。

イラスト・キャラクターの依頼を受ける方

タブレットに花のイラストを描く手元

使い道を、料金と結び付けて決める

イラストの依頼は、個人で楽しむ、商用で使う、グッズにして売るなど、使い道が依頼ごとに違います。依頼規約や契約書で、利用の範囲を料金と結び付けて示します。

キャラクターを商品化したいという依頼には、権利を譲るのではなく、商品・期間・地域を限定して許諾するライセンス契約が向いています。

外注する・業務委託で受ける方

机の上に広げられた複数のデザインのスケッチ

元の契約の条件を、外注先との契約に引き継ぐ

制作会社やディレクターが外注するときは、元の発注者と約束した秘密保持、著作権、納期を、外注先との契約にも入れます。外注先から著作権を受け取っていないと、元の発注者への約束を果たせません。

外注先が個人なら、フリーランス法の取引条件の明示や支払期日のルールがかかります。制作会社から業務委託で受ける側も、条件を書面で確認できる立場です。

独立する・生成AIを使う方

ノートに描かれたアイデアのスケッチ

最初に一式をそろえ、AIの使い方も決めておく

独立したら、基本契約書と発注書、申込書と依頼規約、特定商取引法に基づく表記、プライバシーポリシー、秘密保持契約を一式そろえておくと、案件ごとに迷わずに済みます。

制作に生成AIを使うかどうかは、発注者の期待と納品物の権利の両方に関わります。使う場合も使わない場合も、契約で取り決めておきます。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

ホームページ制作の契約書は、業務委託契約書と請負契約書のどちらにすべきですか?

題名よりも中身が大切です。完成したサイトを納品して報酬を受け取るなら、請負の性質を持つ契約になります。保守や運用のように完成を約束しない作業は、準委任の性質を持ちます。作業ごとに、何を約束するのかを契約書に書きます。

著作権は「発注者に帰属する」と書けば十分ですか?

著作権を譲渡する場合、著作権法27条(翻案権など)と28条(二次的著作物の利用に関する権利)を譲渡の目的として特に書かないと、これらは制作者に残っていると推定されます(同法61条2項)。著作者人格権は譲渡できないので、行使しない旨もあわせて定めます。

ロゴの著作権は、誰のものになりますか?

ロゴを作った制作者が著作者になり、契約で譲渡を定めていなければ、著作権も制作者に残ります。ただし、文字を図案化しただけのロゴなどは著作物と認められないことがあります。発注者が商標として登録することも多いため、著作権の譲渡や許諾とあわせて、商標登録への協力も契約で決めておきます。

イラストの依頼規約に「商用利用可」と書けば足りますか?

商用利用の中身は依頼者によって違います。広告やWebサイトへの掲載だけか、グッズにして販売することも含むのか、改変してよいのかを分けて書き、料金と結び付けておくと、後のトラブルを防げます。

外注先のフリーランスとの契約で、気をつけることはありますか?

外注先が従業員を使用しない個人などの場合はフリーランス法の対象になり、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面や電子メールで明示する必要があります。元の発注者に著作権を移す約束をしているなら、外注先からも同じように著作権を受け取る条項を入れます。

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監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日