このページの要点
- 素材の販売は、著作権法63条の利用の許諾の繰り返し。著作権は移らず、利用権は著作権者の承諾なく譲渡できないので、範囲・人数・用途を規約で決める。
- 再配布の禁止は、「素材を取り出せる形で第三者の手に渡るか」で線を引き、納品する成果物を配る通常の仕事は妨げない。物販は口数で区切った拡張ライセンスにする。
- 「返金不可」が効くのは購入者の都合の場合。返品特約は価格の近くと最終確認画面に表示し、データの不備への対応(再送、修正、返金)と分けて書く。
- フォントは用途と台数、テンプレートは差し替えと同梱素材、3Dは層ごとの権利と元の作品の条件が固有の論点。販売プラットフォームの規約とは、決められる範囲を分ける。
このページでいう「素材」は、イラスト・写真・アイコン、Webサイトやスライドのテンプレート、フォント、3Dモデルなど、ダウンロードで渡す既製品です。「ライセンス」は、購入者に認める利用の範囲と条件を指します。注文を受けてから作る場合はイラストレーターの契約書と依頼規約のページ、完成済みのモデルを一人に売る場合はLive2Dモデル・VTuberイラストの依頼規約のページを参照してください。ここでは、同じ商品を不特定多数に売る「一対多」の販売に絞ります。
売っているのはデータではなく「使ってよい範囲」:許諾の仕組みと素材の種類ごとの違い
素材の販売は、著作権法でいう「利用の許諾」を、購入された数だけ繰り返す取引です。著作権者は他人に著作物の利用を許諾でき(63条1項)、許諾を受けた人は、許諾に係る利用方法と条件の範囲内でだけ利用できます(同条2項)。買った人が手にするのはデータの複製物と利用する権利で、著作権は移りません。買った人が自分の持つ利用権を第三者に譲るには、著作権者の承諾が要ります(同条3項)。
この構造から、規約の骨格が決まります。第一に、著作権は販売者(素材に第三者の権利が含まれるときはその第三者)に残ること。第二に、認める利用は「方法と条件の範囲」に限ること。範囲を書かなければ、範囲の内と外を分ける基準がありません。第三に、購入者が利用権を人に譲ったり貸したりできないこと。購入者が会社を移った、チームの担当者が替わったという普通の場面で、利用権が誰のものかが問題になるからです。著作権そのものを買い手に移す買い切りは別の契約になります。違いは著作権の譲渡契約書と利用許諾の違いを扱うページにまとめています。
素材の種類で、規約が頼れる土台が違う
素材の種類ごとの保護と、規約で決めること
イラスト・写真・アイコン
著作物として保護されやすい(美術・写真の著作物。10条1項4号・8号)
- 使い道ごとの可否(広告・グッズ・書籍など)
- 軽微な加工は認め、大きく変える改変は禁止する(同一性保持権。20条)
テンプレート(Web・スライド・SNS・印刷)
配置や配色の創作性は個別に判断される。コード部分はプログラムの著作物(10条1項9号)
- 差し替えは認め、構造を作り替えての再販は禁止する
- 同梱された第三者の素材は、提供元の条件に従う
フォント
書体のデザインそのものが著作物と認められる場面は限られる(最高裁平成12年9月7日判決)
- 台数・人数と、印刷・Web・アプリ・電子書籍といった用途ごとの許諾
- 納品物への同梱とロゴへの使用の可否
3Dモデル・テクスチャ
創作性が認められれば保護されうるが、どの類型に当たるかは個別に判断される
- 層ごとの権利者と、元になった作品の利用条件の引継ぎ
- 3Dプリント出力して売る用途の可否
印刷用書体が著作物と認められるには、従来の書体にない顕著な特徴といった独創性と、美術鑑賞の対象になりうる美的特性が必要とされました。
規約はいつ「契約の内容」になるのか:購入画面、約款の扱い、プラットフォームの規約との重なり
購入者一人ひとりと規約を取り交わせないので、規約は民法の定型約款(定型取引で、契約の内容とすることを目的として準備された条項の総体)として扱われる場合が多いと考えられます。契約の内容とする旨をあらかじめ表示していたときなどに、個別の条項も合意したものとみなされます(民法548条の2第1項)。ただし、相手方の利益を一方的に害する条項は、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。
実務では、購入ボタンのすぐ近くに「利用規約とライセンス条件に同意して購入する」と書き、規約へのリンクを置きます。相手方から請求があれば規約の内容を示さなければならないので(同法548条の3第1項)、規約はいつでも読める場所に置き、購入時点の版を保管します。素材は一度渡したら回収できないため、変更で既存の購入者の範囲を狭める運用は実効性が低くなります。変更には周知と効力発生時期の定めが必要です(同法548条の4第2項・3項)。「購入時点の規約とライセンスが、その購入分に適用される」と書き、新しい版は新しい購入に適用する形が運用しやすくなります。
販売プラットフォームを使うときの重なり方
素材は、販売プラットフォーム(出品者が商品を並べ、決済とダウンロードを運営者が取り次ぐサービス)で売ることが多い商品です。このとき、プラットフォームの規約、商品ページの説明、自分の規約という三つが重なります。売り方によって、規約の作り方が変わります。
- 標準ライセンスだけを使う:自分の規約は作りません。「3Dプリントして売る」「アプリへの組込み」など標準の区分にない用途があると、商品に合わなくなります。
- 標準ライセンスに追加条件を重ねる:標準と食い違うときにどちらが優先かを確認します。追加条件のほうが厳しいと、標準の説明だけを見て買った人との間で争いになります。
- 自分のサイトで売る、又は両方で売る:規約、特商法の表示、決済、配信を自分で整え、買った場所で範囲が違わないよう条件をそろえます。
自分で決められない部分があります。返金の申請の手順、決済、購入者と運営者の間の紛争の扱いは、プラットフォームの規約が決めていることがあります。自分の規約には利用の範囲と禁止事項を書き、手続の部分は「プラットフォームを通じた購入は、そのプラットフォームの規約が定める手続に従います」と委ねます。「当店の規約がすべてに優先します」と書いても、運営者の規約を変える力はありません。
商品ページの説明文の「商用利用OK」と規約の範囲が食い違うと、購入者に有利に読まれるおそれがあります。商品ごとにライセンスの欄を設け、規約と同じ言葉で書きます。
買い手が消費者か事業者かにも注意します。個人でも、事業として又は事業のために契約するときは、消費者契約法上の事業者です(同法2条)。買い手には仕事で使う人と趣味で買う人が混ざるので、規約は消費者が相手でも成り立つ書き方に統一します。
商用利用と再配布の禁止:「素材を取り出せる形で第三者の手に渡るか」で線を引く
「商用利用可」という言葉は、少なくとも三つの意味で使われています。自分の商売の宣伝に使う(Webサイト、広告、SNS)。クライアントに納品する成果物の一部に組み込む。素材を使った物を売る(グッズ、テンプレートとしての再販、素材集)。三つ目は、素材そのものが商品になるので、他の二つとは別の許諾として切り分けます。
線引きの軸は「取り出せるか」
再配布の禁止で防ぎたいのは、購入者以外の人が、素材を素材として取り出して使える状態になることです。画像に焼き込んだバナー、印刷物、書き出した動画に組み込むだけなら、受け取った人は素材を取り出せないので、通常は許してよい利用です。反対に、編集できるテンプレートをそのまま渡す、ゲームのデータに素材ファイルを入れたまま配る、素材集に収録する、は取り出せる状態を作る行為です。規約には「取り出せる状態か」という基準を一文で書き、購入者が自分で判断できるようにします。
利用の場面ごとの可否の設計例(標準ライセンスと拡張ライセンス)
| 場面 | 標準ライセンス | 拡張ライセンス |
|---|---|---|
| 自分の店やサービスのWebサイト・SNS・広告に使う | ○ 認める | ○ 認める |
| クライアントへ納品するサイトや印刷物に、画像として組み込む | ○ 1社の1案件ごと | ○ 案件数の制限を広げる |
| クライアントに、編集できるテンプレート本体を渡す | × 認めない | △ 契約の形と案件数を決める |
| 素材を使ったグッズ・衣類・ステッカーを作って売る | × 認めない | ○ 数量の上限まで |
| 素材やテンプレートを、素材集やテンプレートとして売る・配る | × 認めない | × 認めない |
| ゲーム・アプリ・動画に組み込む | △ 取り出せない形で | ○ 認める |
| AIの学習用データにする | × 規約で明示 | × 規約で明示 |
表は設計の一例です。素材の種類や価格に合わせて、区分と可否を組み替えます。
AIの学習への利用は、禁止事項として明示する例が増えています。著作権法30条の4には、著作権者の利益を不当に害する場合を除くただし書があり、規約でどこまで制限できるかは素材の売り方で決めます。AI全般は制作での生成AIの使用と契約のページで扱っています。
料金の区分は「口数」で組むと運用できる
一対多の販売で売上に応じた使用料を受け取る方式は、購入者の売上を確認する手段がなく、運用しにくくなります。数量の上限を「口」の単位で区切り、買い足してもらう方式なら、報告も監査も要りません。
計算の例です(金額は説明用の仮の税込価格)。商用の基本ライセンスを1名3,000円、追加席を1名1,000円、物販の拡張を1口4,000円(1口につき1作品・1万個まで)とします。5人のチームが同じテンプレートを使い、1作品を2万個のグッズとして売るなら、3,000円+4,000円(追加席4名)+8,000円(拡張2口)で、合計は1万5,000円です。3万個なら拡張は3口で1万9,000円になります。口数なら、購入者が販売の前に必要な額を自分で計算できます。
再配布の禁止と許諾の範囲:条文例
第◯条(利用の許諾と範囲)の書き方の例
1当店は、購入者に対し、購入された素材を、購入時に選択されたライセンス区分に定める範囲で利用することを許諾します。素材に関する著作権その他の権利は、当店又は当該権利を有する第三者に帰属し、購入者に移転しません。
2利用できるのは購入者本人に限ります。追加席を購入した場合は、購入した人数に限ります。購入者は、この利用の権利を第三者に譲渡し、貸与し、又は再び許諾することができません。
3購入者は、素材を、第三者が素材として取り出して利用できる状態で、配布し、販売し、又は共有してはなりません。取り出して利用できる状態かどうかは、通常の操作で素材のファイルを複製し、抽出し、又は編集できるかどうかを基準とします。
4画像、印刷物、動画その他、素材を取り出せない形に組み込んだ成果物を、購入者の事業又はクライアントのために頒布することは、前項に反しません。
第3項と第4項をセットで置くのが要点です。第3項だけだと、納品する成果物を配ることまで禁止したように読めます。
違反があったときの段階を決めておく
低価格の素材では、訴訟で賠償を求める費用が賠償額を上回ることが少なくありません。規約の役目は、削除や販売の停止を求める根拠を用意することに置きます。段階は、通知、是正の期間(たとえば7日)、是正されないときの許諾の終了とデータの削除の順にし、素材集としての販売のような重大な違反は直ちに許諾を終了させます。軽い違反まで一律に返金せず使用を停止すると、消費者が相手のときは消費者契約法10条で争われるおそれがあります。
損害賠償の額には二つの考え方があります。許諾の範囲を超えて使われたときは、許諾を受けていれば支払うはずだった使用料相当額を損害として請求できます(著作権法114条3項)。無断で物販に使われたなら、拡張ライセンスの料金が一つの物差しです。もう一つは賠償額の予定です(民法420条)。「通常の利用料の3倍」と定める例は事業者どうしの取引で見られる書き方で、消費者が相手では行き過ぎと判断されるおそれがあります。契約を続けたまま違反に科す違約金は民法420条・90条と消費者契約法10条の問題で、同法9条1項1号は「解除に伴う」違約金だけを対象とします。
フォント・テンプレート・3D素材には、それぞれ固有の落とし穴がある
フォント:許諾の単位と用途を分ける
| 項目 | 決めること | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 許諾の単位 | 使える端末の台数、又は使う人数 | チームの全員がファイルを共有して使う |
| 用途 | 印刷物、Web埋め込み、アプリ組込み、電子書籍、動画を分ける | 安価な区分で、アプリに組み込んだ製品を売る |
| 納品物への同梱 | クライアントにフォントのファイルを渡せるか | クライアントがファイルを受け取って自由に使う |
制作会社の契約では、有料フォントを「第三者素材」として権利の譲渡の対象から外すのが通例です。売る側は、納品物への同梱の可否を明記します。ロゴの扱いはロゴ制作の契約と著作権のページも確認してください。
テンプレート:差し替えと改変の衝突を避ける
テンプレートの規約で多いのは、条項どうしの衝突です。たとえば、文字・写真・連絡先の差し替えは認めると書きながら、禁止事項に「編集」を一括して並べると、差し替えまで禁止したように読めます。対策は、定義で区切ることです。「差し替え」(文字、写真、色、ロゴの入れ替え)は認める。「構造の改変」(レイアウトや部品の組み替え)は事前の承諾制にする。「改変したものの再販」は禁止する、と三段に分けます。
同梱された第三者の素材にも注意が必要です。写真、フォント、アイコンにはそれぞれ提供元の条件があり、販売者は自分の持つ範囲より広い許諾を購入者に与えられません。商品ページに第三者の素材の一覧と条件を載せ、規約には「各提供元の条件に従う」と書きます。「素材はすべて当店が権利を有する」と書くと、持っていない権利を持つと表明したことになります。
月額で貸すレンタル型では、「所有権や複製権は移らない」「終了後は使用を中止してデータを削除する」を冒頭で宣言し、期間と解約の予告を合わせます。期間1か月で満了の2か月前までの通知を求める例は、通知の期限が契約期間の外にあり、運用できません。
3D素材:データの層と、元の権利を分けて考える
3Dモデルは、形状(メッシュ)、テクスチャ、材質の設定、骨組み(リグ)など、層が重なったデータで、層ごとに作った人が違うことがあります。全部の層について許諾を受けているかを、販売の前に確認します。元になったものがあるかどうかも問題です。既存のキャラクターや衣装をもとに作った3Dモデルは、元の作品の二次的著作物(2条1項11号)になりえて、元の作品の著作者も同じ種類の権利を持ちます(28条)。販売者が売れるのは、元の権利者が認めた範囲までです。商品ページに元の作品の利用条件を載せ、購入者がその条件を引き継ぐことを規約で書きます。キャラクターの商品化はキャラクター・グッズのライセンス契約書のページで扱っています。
用途の区分は「商用利用」だけでは足りません。ゲームや動画への使用と、3Dプリントで出力した実物を売る用途は、複製される形も売り先も違うので、出力物を売ることを独立した区分にします。動作は、対応するソフトとバージョンを書き、購入者の環境が原因の不具合は不備に含めません。改造したモデルの再販売は、禁止するか、元の素材を含めない場合に限って認めるかを書きます。
「返金不可」と書けば足りるわけではない:返品特約、契約不適合、特商法の表示
先に結論を述べます。「返金不可」の表示が効くのは、「気が変わった」「イメージと違った」という購入者の都合の場合です。データが壊れていた、説明と違う内容だったという販売者側の問題まで、表示ひとつで消せるわけではありません。
通信販売にはクーリング・オフがなく、返品は事業者の特約が優先する
インターネットでの販売は、特定商取引法の通信販売に当たります。通信販売には、訪問販売のようなクーリング・オフの制度がありません。申込みの撤回や返品の制度(同法15条の3)は、事業者が返品特約を広告に表示した場合に、その特約が優先されます。返品特約は、返品の可否、条件、返品の送料の負担を含め、広告に表示しなければならない事項です。表示の方法は、施行規則が、顧客にとって見やすい箇所に、明瞭に判読できるように、容易に認識できるよう表示すると定めています。
消費者庁のガイドラインは、インターネットの例として、申込みボタンの近くに価格と同じ大きさで表示する、標準設定で12ポイント以上の文字にする、最終確認画面にも表示する、といった方法を示しています。反対に、何十条もある購入規約の中に区別せず埋もれている場合や、極めて小さな文字の場合は、認識しにくい表示の例とされています。「規約の第◯条に書いてあるから表示済み」と言えるとは限らない、ということです。
「返品特約」と「契約不適合の責任の特約」は別のもの
ガイドラインは、契約の内容に適合している場合の返品特約と、適合していない場合の販売業者の責任の特約を、別のものとして扱っています。後者を特約する場合は、その旨の表示も義務付けられています(法11条6号、施行規則23条5号)。両者の区別がつかない表示は、適合している場合の返品特約だけを定めたものと解され、適合しない場合の責任は民法・商法の一般の原則によるとされます。
民法の一般の原則では、種類や品質が契約の内容に適合しない目的物が引き渡されたとき、買主は、履行の追完(修補や代替物の引渡し)、代金の減額、損害賠償、解除を求められます(民法562条〜564条。有償契約には売買の規定が準用されます。同法559条)。不適合を知ってから1年以内の通知という制限もあります(同法566条)。「いかなる場合も返金しません」と書いても、データが開けない、含まれるはずのファイルがない、という場合の責任をなくせるとは限りません。
消費者が相手のときは、事業者の債務不履行の責任の全部を免除する条項は無効です(消費者契約法8条1項1号)。ただし、契約不適合があるときに追完か代金の減額の責任を負うと定めている場合は、この規定は適用されません(同条2項1号)。「不具合は修正・再送し、できなければ返金する」と決めておくことは、購入者のためになるだけでなく、責任の範囲を整理した規約が有効に働く土台にもなります。
返金の線は場面ごとに書き分ける
| 場面 | 扱いの例 | 理由 |
|---|---|---|
| ダウンロード後に気が変わった・買い間違えた | 応じない(返品特約として表示) | データは複製が残るため、返してもらっても意味がない |
| ファイルが開けない・破損・欠損 | 修正したファイルを再送。困難なら返金 | 契約の内容に適合しない場合の追完と減額 |
| 商品ページの記載と内容が異なる | 不足分の提供、又は返金 | 説明と異なる内容を引き渡した場合の責任 |
| 購入者の機器やソフトが対応外 | 応じない(対応環境を事前に表示) | 販売者の不備ではなく、事前の表示で足りる |
「ダウンロード後は返金しない」と書くときは、「提供の開始」がいつかを定義します。リンクを送った時点か、実際にダウンロードした時点か、リンクの有効期間と再ダウンロードの回数、購入者が消してしまった場合に再送するかも決めておくと、問い合わせが減ります。
返品の条項と責任の上限:条文例
第◯条(返品・返金)の書き方の例
1データの性質上、ダウンロードが可能になった後は、購入者の都合による返品及び返金に応じません。
2ダウンロードが可能になる前に、購入の取消しを希望するときは、決済から24時間以内で、かつ未ダウンロードの場合に限り、取消しに応じます。
3ファイルの破損、欠損、又は商品ページの記載と異なる内容があるときは、当店は、修正したファイルの再送又は不足分の提供を行います。これが困難なときは、代金の全部又は一部を返金します。
4購入者の機器又はソフトウェアが商品ページに記載した対応環境を満たさないことによる不具合は、前項の対象としません。
第1項の特約は、商品ページと最終確認画面にも同じ内容を表示します。第3項は、契約の内容に適合しない場合の責任として、第1項と分けて書いています。
第◯条(責任の範囲)の書き方の例
1当店が購入者に対して負う損害賠償責任は、当店、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該素材について購入者が支払った代金の額を上限とします。
消費者が相手のときは、責任の一部を免除する条項が、重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないと無効です(消費者契約法8条3項)。上限を定める一文の中に、故意又は重大な過失を除く旨を書きます。
特商法の表示:販売ページにそろえる項目
通信販売の広告には、販売価格、代金の支払の時期と方法、商品の引渡しの時期、返品に関する事項、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などを表示します(特定商取引法11条)。ダウンロード販売では、引渡しの時期は「決済の完了後、ダウンロードが可能になった時」のように書きます。対応するソフトやバージョンは、契約の内容に適合するかの基準として、商品ページに書いておきます。
個人のクリエイターにとって悩ましいのは、氏名・住所・電話番号の表示です。法11条のただし書により、請求があったときに遅滞なく提供する旨を広告に表示し、実際に応じられる体制を整えている場合には、表示を一部省略できます。消費者庁の解説では、提供する住所は現に活動している住所、電話番号は連絡の取れる番号である必要があるとされています。省略の可否は販売の場所ごとに確認します。
価格は、消費者向けなら、消費税額を含む総額で表示します(消費税法63条)。「税込か税別かを明記する」だけでは足りません。なお、営業のために又は営業として契約する相手方には、通信販売の規定は適用されません(特定商取引法26条1項1号)。ただし、個人も買える状態なら、消費者が買う前提で表示を整えます。
規約、特商法の表示、商品ページ、よくある質問で返品の条件が食い違うのが典型的な失敗です。規約は不具合時に返金に応じると書きながら、表示には「一切不可」とだけ書く例です。一式の書類は独立するときにそろえる書類のページにまとめています。
よくある失敗と直し方:規約の一文ずつ見直す
素材の販売規約で、よく見られる書き方と、整えた書き方を並べます。いずれも一般的な例で、特定の事業者の規約ではありません。
書き方の例(一般的な例) 素材の販売規約
商用利用の範囲
可能な用途と、別料金の用途を分けて書きます。
再配布の禁止
「取り出せる状態」で定義し、納品物を配る通常の仕事を禁止しないようにします。
返金
都合による返品の特約と、不備があった場合の責任を分けます。
違反時の対応
段階と基準を示します。
ヒヤリングで確認すること:売る前に決めておく六つの問い
素材の規約は、商品によって書く中身が大きく変わります。規約を作る前に、次の点を確認します。
素材の販売規約を作る前に
問何を売りますか。ファイルの形式と、素材に第三者の権利が含まれていないかを教えてください。
理由売れる範囲は、元の権利者が認めた範囲で決まります。
問買う人は、趣味の個人と、制作を仕事にする人と、法人のどれが中心ですか。
理由消費者か事業者かで、返金と責任の書き方が変わります。
問買った人は、素材をどこに使いますか。商品に載せて売る人はいますか。
理由物販があれば、拡張ライセンスの要否と数量の上限を決めます。
問売る場所は、販売プラットフォーム、自分のサイト、両方のどれですか。
理由規約と、プラットフォームの規約との優先関係、返金手続の窓口、特商法の表示の主体が変わります。
問無断の再配布を見つけたとき、どこまで対応するつもりですか。
理由規約に書く措置は、実際に運用できる範囲に限ります。
問住所と電話番号を公開できますか。
理由公開できないときは、請求があれば遅滞なく提供する方法で省略できるかを検討します。
起きがちなこと:場面ごとの見直し
| 場面 | 起きがちなこと | 規約での備え |
|---|---|---|
| 「商用利用可」と書いて売る | 購入者がグッズにして大量に売り、販売者は「そこまでは想定していない」と言う | 物販を独立した区分にし、数量の上限を口数で決める |
| 3Dモデルが、既存のキャラクターをもとにしている | 元の権利者の許諾の範囲を超えて、物販に使われる | 元の作品の利用条件を購入者に引き継ぎ、物販の可否を独立させる |
| データが開けないと連絡が来る | 「返金不可」を理由に断り、不備の責任まで拒んだように読まれる | 再送、修正、返金の順に対応する条項を置く |
確認リスト:規約を公開する前に
- 1許諾の範囲(誰が、何に、どこまで使えるか)が、ライセンス区分と料金に結び付いているか
- 2返品特約が、価格に近い見やすい場所と最終確認画面に表示され、不具合時の対応と分けて書かれているか
- 3規約、特商法の表示、商品ページ、よくある質問で、返品の条件が同じ内容になっているか
素材の販売では、規約そのものより、販売ページと規約のずれから争いが起きます。商品ごとのライセンス欄、返品特約の表示、同梱素材の一覧の三つを、規約と同じ言葉でそろえておくことが、いちばんの備えです。
よくあるご質問
デジタル素材の販売規約には、何を書けばよいですか。
利用の許諾の範囲(誰が、何に、どこまで使えるか)、再配布と共有の禁止、禁止事項に違反したときの対応、返品と返金の扱い、責任の範囲、プラットフォームの規約との関係を書きます。素材の種類によって、フォントなら用途ごとの許諾、テンプレートなら差し替えと改変の線引き、3Dなら元の権利と物販の可否が加わります。
「商用利用可」と書けば十分ですか。
十分とは言えません。自分の宣伝に使う、納品する成果物に組み込む、素材を使った物を売る、という三つの意味で使われるためです。範囲を分けて書き、物販など別料金にする用途は拡張ライセンスとして独立させると、後の争いを防ぎやすくなります。
デジタル商品は「返金不可」と書けば、どんな場合も返金しなくてよいですか。
いいえ。購入者の都合による返品の特約は、広告に分かりやすく表示すれば優先されます。ただし、ファイルが壊れていた、説明と異なる内容だったという場合の責任は、別のものとして残ります。消費者が相手の契約では、責任の全部を免除する条項は無効になります。不具合のときは再送や修正をし、困難なら返金する、と分けて書きます。
購入者が素材を再配布していたとき、いくら請求できますか。
許諾の範囲を超えた利用に対しては、許諾を受けていれば支払うはずだった使用料相当額を、損害として請求できます(著作権法114条3項)。規約で賠償額を予定することもできますが、消費者が相手のときは、定め方によって無効や争いの対象になります。実際には、削除や販売の停止を求める根拠として、規約を使うことが中心になります。
販売プラットフォームで売るときも、自分の規約は必要ですか。
プラットフォームの標準ライセンスで足りる商品もありますが、フォントの用途、3Dの物販、テンプレートの差し替えと改変のように、標準の区分で決まらない点があるなら、商品ページに追加の条件を書きます。返金の申請や決済の手続は運営者の規約に従うため、自分の規約には、利用の範囲と禁止事項を中心に書きます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な条項は、制作物の種類、納品の形、報酬の決め方、相手方が事業者か個人かによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁 著作権 / 公正取引委員会 / 特許庁