このページの要点
- 共同制作の約束は、題名でなく中身で性質が決まる。出資して活動するなら民法の組合と見られることがあり、損益・脱退・解散に標準のルールが入る(民法667条〜688条)。
- 作品の権利は、分離できない共同部分は共有(著作権法65条2項で行使は全員の合意)、分けられる担当部分は各自のもの。契約書は担当表で部分ごとに書く。
- 収益は、売上か利益かと、控除する費用の範囲を先に決める。立替の精算、明細、異議の期間、暫定の分配までを手順として書く。
- 意思決定、脱退、解散、二次創作ガイドラインの許諾を、誰がどう決めるかを書く。辞める手続と、公開済みの作品・在庫・名義の行き先がないと、抜けるときにもめる。
共同制作の約束は、法律上どんな契約になるのですか?
結論から言うと、「共同制作契約書」「コラボ契約書」という題名では性質は決まらず、約束の中身で決まります。性質によって、適用される民法の規定も、脱退や解散のルールも変わります。
共同制作の約束がとる四つの型
型1 一緒に出資して活動する
民法の組合にあたることがある
- 費用や作業を出し合い、収支を分け合う
- 出資は作業を担うこと(労務)でもよい(民法667条2項)
- 共通の機材や在庫は全員の共有(同法668条)
型2 一方が主宰し、他方が制作を引き受ける
請負または準委任
- 完成物を納めるなら請負(民法632条)、作業を行うなら準委任(同法656条・643条)
- 報酬、納期、修正、権利の帰属を決める
型3 互いの作品を使わせ合う
著作物の利用許諾
- 許諾された範囲内でしか使えない(著作権法63条2項)
- 期間・媒体・再許諾の可否を決める
型4 その企画限りの共演・寄稿
単発の合意
- 役割、締切、クレジット、収益の有無、中止のときの扱いを、メッセージでも残す
型は一つの活動の中で混ざります。数人で費用を出し合ってサークルを運営し(型1)、その一人が表紙だけを有償で引き受ける(型2)、という具合です。一括りにせず、型ごとに条を分け、型2や型3は別紙にします。
各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約束すると、組合契約が成立します(民法667条1項)。費用を出し合って制作・頒布し、収支を分けている実態があれば、営利を目的としない活動でも組合と見られることがあります(個別に判断されます)。書面にない部分は組合の規定が穴埋めをするので、標準の扱いを使うのか、変えるのかを決めておきます。
| 場面 | 民法の標準的な扱い | 契約書で決めること |
|---|---|---|
| 一人が約束した作業をしない | 他の組合員は、その不履行を理由に組合契約を解除できない(667条の2第2項)。除名は、正当な事由があるときに、他の組合員の一致で行い、本人への通知が要る(680条) | 作業の期限、遅れたときの段階的な扱い |
| 損益の分け方を決めていない | 出資の価額に応じて定める(674条1項) | 割合、利益と損失の計算方法、労務の評価 |
| 意思決定の方法を決めていない | 組合の業務は過半数で決め、各組合員が執行する。業務執行者への委任もできる(670条1項・2項) | 全員の合意が要る事項と、代表者に任せる事項 |
| 抜けたい | 期間を定めなければいつでも脱退できるが、やむを得ない事由がなければ組合に不利な時期は不可(678条1項)。脱退の時の財産の状況で計算し、持分は金銭で払い戻せる(681条) | 予告期間、精算の基準日、払戻しの時期 |
| 解散したい | 事業の成功・不能、期間満了、全員の同意などで解散する(682条)。残余財産は出資の価額に応じて分ける(688条3項) | 解散の事由、在庫・機材・アカウントの行き先 |
「共同」と書いてあっても、実態が違う契約がある
実務では、「共同事業」と題されながら、最終的な決定は一方だけが行い、他方は異議を述べられず、損失は一方が負担し、他方の取り分は利益の何割か、という書面を見かけます。これは実態として、一方が事業主で他方が成果報酬の受託者に近く、看板と中身がずれています。反対に、出資と損益の分担を伴う実態があるのに「組合ではない」と書いても、実態は変わりません。書面と運営(受取口座、費用の負担、意思決定)を一致させます。出資金を毎月払いながら相手の制作も受託する、という形では、お金が両方向に流れて出資か報酬か分からなくなるため、別の条に分けます。制作の依頼として扱う部分は、制作の見積書・発注書と仕様書のページの考え方で特定します。
共同で作った作品の権利は、誰がどう持つのですか?
結論は、「共同制作だから共有」とは決まらず、各人の担当部分に分けて利用できるかどうかで変わる、ということです。契約書では、作品ごと、部分ごとに書きます。
二人以上が共同して創作し、各人の寄与を分離して個別に利用することができない著作物が共同著作物です(著作権法2条1項12号)。その著作権は共有で、共有者全員の合意がなければ行使できません(65条2項)。第三者への利用の許諾(グッズ化、他社企画への提供)も行使にあたると考えて契約を作るのが安全です。持分の譲渡には他の共有者の同意が要り(同条1項)、正当な理由なく同意や合意を拒むことはできません(同条3項)。著作者人格権の行使も著作者全員の合意が要ります(64条1項)。窓口の代表者を定めることもできます(64条3項、65条4項)。一方、侵害への対応は各共有者が単独でできます(112条、117条1項)。
| 作り方 | 権利の持ち方の目安 | 契約で決めること |
|---|---|---|
| 二人で一枚の絵を描き、線を分けられない | 共同著作物になり得る(2条1項12号) | 持分、代表者、許諾の手順 |
| 合同誌で、各自が数ページずつ描く | 各ページは各自の著作物。冊子の構成には編集著作物が成立し得るが、各ページの権利には影響しない(12条) | 再録、電子版、グッズ化の許可の取り方 |
| 一人が原作、もう一人が漫画を描く | 漫画は描いた人の著作物。原作の表現をもとにした二次的著作物なら、原作者も同種の権利を持つ(2条1項11号、28条) | 漫画をアニメ化・グッズ化するときの許可 |
| 持ち込まれた既存のキャラクター・曲・フォント | 持ち込んだ人または第三者の権利。共同制作の成果にならない | 成果に含めないこと、使ってよい範囲 |
担当を分けたつもりでも互いに手を入れていれば共同部分が生じます。担当表(別紙)で「ここは誰の担当」と書き、共同で手を入れた部分だけを共同部分とします。奥付に名前を載せると著作者と推定されるので(14条)、実際の分担と合わせます。
権利の持ち方は、①担当部分ごとに各自が持つ、②共有にして割合と代表者を決める、③一方に譲渡する、④一人が持ち他方に利用を許諾する、の四つから選びます。③では27条・28条の権利を特に書かないと譲った人に残ると推定され(61条2項)、著作者人格権は譲渡できない(59条)ので不行使の約束を別に書きます。著作権の譲渡契約書と著作者人格権の不行使のページに詳しい整理があります。共同キャラクターの商品化はキャラクター・グッズのライセンス契約書のページで扱っています。
(作品の権利)
1甲が単独で制作した部分(別紙1の担当表に記載したもの)の著作権は甲に、乙が単独で制作した部分の著作権は乙に帰属する。
2甲乙が共同して創作し、各人の寄与を分離して個別に利用することができない部分(以下「共同部分」という。)の著作権は、甲乙の共有とし、持分は各2分の1とする。共同部分の利用の許諾は、甲乙が合意して行う。ただし、通常の頒布は、代表者として定めた者が行うことができる。
3各当事者が従前から有する素材(別紙2)の権利は、前二項の影響を受けない。各当事者は、別紙2の素材を、本作品の制作及び頒布に必要な範囲で相手方が使用することを許諾する。
4各当事者は、本作品の本契約の目的の範囲内での利用について、相手方に対し著作者人格権を行使しない。ただし、相手方の名誉又は声望を害する態様での利用を除く。
第1項・第2項で担当部分と共同部分を分け、第3項で持込みの素材を成果から外します。第4項は、不行使の範囲を目的に限り、名誉を害する利用を除いています。
収益はどう分けるのですか?売上・利益・貢献度の三つの方式
結論は、割合を決める前に、何を分ける対象にするか(売上か利益か)と、利益から引く費用の範囲を決める、ということです。割合の数字より、この二つの定義が金額の差を生みます。
| 方式 | 向く場面 | 注意すること |
|---|---|---|
| 売上の按分 | 費用を各自が自分で負担していて、共通の費用が少ないとき | 共通の費用(印刷費、参加費)が出ると、負担者を別に決める必要がある |
| 利益の按分 | 費用を共同で出して頒布するとき。最も一般的 | 費用の範囲を決めないと金額が運用で変わる。赤字の負担も決める |
| 貢献度(ポイント)制 | 役割や量が作品ごとに変わる継続的な活動 | ポイントの付け方、見直しの時期、異議の手続がないと評価をめぐって争いになる |
見落とされやすいのが、控除する費用の範囲です。たとえば、メンバーの一人への運営支援の対価を費用として利益から引けると書き、上限や事前の承認を定めない契約書があります。支払いが増えるほど他のメンバーの取り分が減ります。直し方は、費用の種類を別表に並べ、別表にない支出や一定額を超える支出は事前の合意を条件にし、月額の上限を置くことです。メンバー本人の作業の対価は、費用でなく分配の割合で扱う、という線引きも一例です。
計算例:三人の合同作品集
A・B・Cが合同の作品集を頒布し、売上が30万円、費用が印刷費8万円・参加費2万円・送料等1万円の合計11万円、分配割合が4対4対2の場合です(数字は説明用の仮のものです)。利益は19万円で、売上はBの口座に入り、印刷費と参加費はAが、送料等はCが立て替えたとします。
| 項目 | A | B | C | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 利益19万円の分配額 | 7.6万円 | 7.6万円 | 3.8万円 | 19万円 |
| 立て替えた費用の精算 | 10万円 | 0円 | 1万円 | 11万円 |
| Bが支払う額(分配額+精算) | 17.6万円 | (手元の7.6万円) | 4.8万円 | 30万円 |
費用は利益の計算で引いてあるので、立て替えた人には分配とは別に返す必要があります。返さないと、Aは10万円を自分で負担したまま分け前だけを受け取ることになります。赤字のときは、割合を定めなければ出資の価額に応じます(民法674条1項)。損失が16万円で出資がAが20万円、Bが60万円なら、標準ではAが4万円、Bが12万円の負担で、「半分ずつ」と書けば8万円ずつです。
分配は数字より手順でもめます。締め日、明細の提示期限、異議の期間、根拠資料の開示、支払日、遅延損害金、誤りの調整を決めます。異議がなければ承認とみなす型は、期間が短いと確かめる前に確定するので、根拠資料の添付と、誤りが分かったときの差額の精算をセットにします。業務を執行しないメンバーにも、業務と財産の状況を検査する権利があります(民法673条)。
(収益の分配)
1「収益」とは、本作品の頒布その他の利用により購入者から実際に入金された額(返品及び返金分を除く。)から、別表2に掲げる費用を控除した残額をいう。別表2にない支出及び別表2の上限を超える支出は、あらかじめ書面又は電磁的方法で合意したものに限り控除できる。
2収益は、別表3の割合で分配する。別表3にない収益は、協議が整うまでの間、「その他の収益」の欄の割合で暫定的に分配し、協議が整ったときは差額を精算する。
3受取口座の管理者は、毎月末日を締め日として翌月10日までに、収入、費用、立替の精算及び各人の分配額を記載した明細書を、根拠資料とともに他の当事者に提示する。他の当事者から求められたときは、帳簿及び資料を遅滞なく開示する。
4他の当事者は、提示を受けた日から14日以内に、理由を示して異議を述べることができる。期間内に異議がないときは承認したものとみなす。ただし、後に誤りが判明したときは、差額を精算する。
日数は活動の実態に合わせます。第2項の暫定分配が、「その他は協議」の空白を埋めています。
意見が割れたら、誰が決めるのですか?意思決定と窓口
結論は、事項を重さで分け、全員の合意が要るもの、代表者に任せるもの、多数で決めるものを書き分けることです。「協議して決める」だけでは、整わないときの出口がありません。
| 事項 | 決め方の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 作品の新しい利用の許諾(グッズ化、電子版、他社企画、二次創作の許可) | 共有部分は全員の合意。担当部分は担当者 | 共有著作権の行使は全員の合意が要る(著作権法65条2項) |
| 頒布の価格、部数、イベントへの申込み | 代表者が決める。一定額を超えるときは事前に通知 | 毎回全員で決めると動けない(民法670条2項) |
| 新しいメンバーの加入と、それに伴う分配の変更 | 全員の合意 | 加入で割合が変わるため、一方の判断に任せると取り分が動く |
| サークル名・ロゴ・アカウント名義の変更、契約の変更、解散 | 全員の合意(解散は民法682条4号) | 活動の顔と存続に関わる |
最終決定を一方に集め、他方は提案はできるが異議を述べられない、協議が整わなければ一方の決定による、新しい参加者の受入れと条件の変更も一方が決める、という書面があります。一方が責任を負う立場なら成り立ちますが、それは「共同」でなく受託や提携の形で、既存の参加者の取り分を一方が動かせる点がもめます。逆に全員一致だけでは、一人の反対で止まります。協議の開始から○日で整わなければ現状を維持する、代表者が暫定で決める、中立の第三者(共通の知人など)の意見を聞く、それでも整わなければ脱退や解散の手続に進む、と出口を段階で書きます。
外部との契約(印刷所、イベント、販売サイト、ドメイン)は誰かの名義で結びますが、組合と見られる関係では、債権者は各組合員にも損失分担の割合または等しい割合で請求できます(民法675条)。内部で費用の負担割合と立替の精算を書き、名義人が抜けたときの名義の移し方も決めます。
メンバーに特定の作業を有償で頼むときは、型2の制作の依頼として別紙に書きます。事業として従業員を使わない個人に制作を委託する形になれば、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示する義務が生じ得ます(フリーランス法3条)。頼む側が従業員を使う事業者なら、報酬の支払期日(4条)の規制があり、1か月以上の委託では禁止行為(5条)の対象にもなり得ます。趣味の活動で事業といえない場合など、当てはまるかは個別の判断です。外注の考え方は外注・再委託の契約書とフリーランス法のページにあります。
未成年のメンバーがいる場合、契約には法定代理人の同意が必要で、同意のない契約は取り消せます(民法5条1項・2項)。契約書に同意欄を設けるか、同意の記録を確認してから契約の成立とします。
抜けたい、やめたいときはどうなるのですか?脱退・解散・作品の扱い
結論は、脱退のルールがない共同制作の契約は、「抜けられない」か「黙って抜けられる」かの両極端になりやすい、ということです。予告の期間、精算の基準日、公開済みの作品の行き先を、順調なうちに書いておきます。
実務で多いのは、終了の事由が、合意による解除、重大な違反、事業継続の困難の三つだけの契約書です。方向性が合わなくなっても終われないため、30日前などの予告で解約できる任意解約を足します。「通知し、双方が協議して合意した場合に限り解除できる」という書き方は、相手が合意しなければ解除できないので、実質は合意解約です。組合と見られる関係では、やむを得ない事由がなければ組合に不利な時期に抜けることは認められません(民法678条1項)。
| 項目 | 決め方の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 公開済みの作品の販売 | 完成済みの作品は期間を決めて販売を続け、収益は従前の割合で分配する | 続けるか止めるかで在庫と分配が変わる |
| 在庫・共通の機材 | 基準日に数え、残る人が買い取るか、売り切って精算する | 清算前に財産の分割は求められない(民法676条3項) |
| 増刷・電子版・脱退者の担当部分の改変 | 共有部分は全員の合意。脱退者の担当部分は本人の同意を得る | 著作者の意に反する改変は受けない(著作権法20条)。新たな利用には65条2項の合意が要る |
| クレジット | 担当した部分には名前を表示する。希望があれば非表示にする | 氏名表示は著作者が決める(19条) |
| 制作途中の作品 | 続行する人と分配の割合を決める。続行しないものは素材を各自に返す | 未完了の事項は完了後に計算できる(民法681条3項) |
| サークル名・アカウント・ドメイン | 残る人が引き継ぎ、脱退者は同じ名称を使わない | 活動の顔の帰属は最ももめやすい |
脱退後の競業避止にも注意が要ります。契約の終了後も数年間は同種の事業をしてはならず、違反すれば損害額の数倍を違約金とする条項は、創作では同じジャンルや似た画風の作品を作ること自体を禁じかねません。損害賠償の額は予定できますが(民法420条)、実際の損害から離れて過大であれば公序良俗に反して無効となり得ます(90条)。禁止の対象を、共同作品のキャラクター、名称、未公開の企画の流用に絞り、期間を短くし、違約金は実損か計算可能な基準にします。
終了時の処理を「資産及び負債は折半」とだけ書く契約書もあります。出資に差があると不均衡です。標準では残余財産は出資の価額に応じて分けます(688条3項)。Aが20万円、Bが60万円を出資し、解散時に40万円が残ったなら、標準ではAが10万円、Bが30万円で、折半ならBは10万円少なくなります。折半にするなら、その合意を理由とともに残します。
メンバーが亡くなったときは、死亡が脱退の事由になり(民法679条1号)、相続人は一身に専属したものを除き権利義務を承継します(896条)。著作者人格権は譲渡できず(著作権法59条)、財産としての持分は承継され得ます。持分を残る人が買い取るのかも書いておきます。
二次創作ガイドラインとコラボ企画は、共同制作だとどこが違うのですか?
結論は、作品の権利を複数人で持っていると、二次創作を認めるかを決める人が一人ではない、という点です。内容を考える前に、誰が許諾できるのかを決めます。
二次創作は二次的著作物にあたり得て(著作権法2条1項11号)、原著作物の著作者は、その利用について二次的著作物の著作者と同種の権利を持ちます(28条)。共同制作では、共有部分のガイドラインの公表に全員の合意が要り(65条2項)、担当部分は担当者が決め、持込みの素材や第三者の権利が入った部分は、全員が決めても許諾の対象にできません。
| 項目 | 共同制作ならではの注意 |
|---|---|
| 対象 | 共同部分、担当部分、持込みの素材のどれが対象かを分ける |
| 許可・禁止する行為 | 「自由に」とは書かず行為の種類を具体的に。メンバーの名誉を害する内容の禁止は、全員で確認する |
| 収益化・頒布 | 同人誌、グッズ、有償配信、会員制、企業案件を種類ごとに。書かない種類は許可していないと明記する |
| 取下げ・変更 | 取下げを求める窓口(代表者)、変更には全員の合意が要るか、公開済みの作品の扱い |
| 脱退したメンバーの部分 | 脱退後も同じ方針を適用するか、本人の同意が要るか |
(二次創作の取扱い)
1当サークルの作品を題材にした二次創作は、非営利の個人の活動として公開するもの、及び同人誌として頒布するものに限り許可します。
2次のものは許可していません。公式の発信と誤認させるもの、メンバーや関係者を誹謗中傷するもの、同人誌以外の物品の販売、有償の会員制や企業の案件に使うもの。希望するときは、事前にご連絡ください。
3第三者の素材(音楽、フォント、他の作品のキャラクターなど)が含まれる部分は、当サークルが許可できません。その権利者の方針に従ってください。
4公開するときは、元の作品名とサークル名と、非公式の二次創作である旨を表示してください。本ガイドラインに反する作品は、取下げをお願いすることがあります。
ファンに向けて公表する文章の例なので、条番号を付けていません。変更はメンバー全員の合意で行い、日付つきで公表します。
反対に、他の作者の作品の二次創作を頒布するときは、公式のガイドラインの範囲かを先に確認し、共同で頒布するなら、確認の担当と、侵害を主張されたときに頒布を止める権限、費用の負担を合意書に書きます。依頼を受けてファンアートを描く場合の規約はイラストレーターの契約書と依頼規約のページにあります。
確認リスト:コラボ企画を始める前に決めておくこと
- 1役割、締切、素材を誰が用意するか。素材の権利は誰にあり、コラボ後に相手が単独で使えるか
- 2クレジットの表記。誰の名前を、どの順で、どこに出すか(氏名表示は著作者が決める。著作権法19条)
- 3告知の時期と内容、収益と費用(収益がないときの材料費や交通費を含む)
- 4中止・延期のときの扱いと、公開後に取下げを求められたときの手順
共同制作の契約書で、よくある失敗と直し方は?
後からもめやすい書き方を、直し方とあわせて並べます。「よくある書き方」は、そう書かれていることがある一般的な例で、実際の文言の引用ではありません。
書き方の例(一般的な例) 共同制作・協業の契約書でもめやすい条項
収益の分配だけで、権利の帰属が空白
収益の分配と著作権の帰属は別の話です。「共同で持つ」と話していても、収益だけを定めた書面では、絵を描いた人に著作権が残ります。
利益の費用に、上限のない支払いが入る
経費に調整の余地があると、割合が公平でも取り分が運用で減ります。種類を限定し、上限と事前の合意を置きます。
成果物の権利が、全部一方に帰属する
多く制作した側の不満が残り、関係が悪くなったときに争いになります。人格権の不行使は目的の範囲に限ります。
辞める手続がない、または合意がないと辞められない
終了の手続がないと、方向性が合わなくなっても辞められません。予告つきの任意解約と精算をセットで書きます。
脱退後に、同じジャンルの作品を数年間作れない
画風やジャンルまで縛る結果になります。対象を共同作品の資産に絞り、期間を短くします(民法420条、90条)。
新しい参加者の受入れと条件の変更を、一方が決める
加入で割合が薄まる既存のメンバーの取り分が、一方の判断で動きます。加入は全員の合意にします。
どの失敗にも共通するのは、起きた後の手当てが書かれていないことです。契約書は、関係が変わったときに開かれます。割合だけでなく、計算、決め方、出口を、順調な間に書いておきます。
合意書を作る前に、ヒヤリングで確認すること
結論は、条文の前に、人数と役割、お金の流れ、これからの使い道を聞き取ることです。聞き取った内容が、そのまま別紙(担当表、費用の表、収益の表)になります。
確認する事項と、その理由
問何人で、誰が何を作りますか。担当は作品ごと、ページごとに分けられますか。
理由分離して利用できる部分か、一体の部分かで、共同著作物かどうかが変わり、権利の書き方が変わるためです(著作権法2条1項12号)。
問費用は誰がいくら出しますか。立替や、作業だけを担う人はいますか。
理由出資の額で、損益の分け方、脱退の払戻し、解散の残余財産の標準が決まるためです(民法674条、681条、688条3項)。
問売上は誰の口座に入り、明細は誰が作りますか。収益の種類はいくつありますか。
理由入金と管理が一人に集まると収支の把握が難しくなります。収益源ごとに比率が違うときは、「その他」の空白をなくす必要があります。
問持ち込まれる既存のキャラクター、曲、フォント、素材はありますか。
理由共同制作の成果から外し、使ってよい範囲を許諾として書くためです。
問作品の新しい使い道(グッズ化、電子版、二次創作の許可)は、誰が決めますか。
理由共有部分の許諾には全員の合意が要るため(著作権法65条2項)、窓口と手順を決めないと一人の反対で止まります。
問サークル名、アカウント、ドメイン、イベントや販売サイトの申込みは、誰の名義ですか。
理由脱退のときに最ももめやすく、外部の請求が名義人以外にも及ぶことがあるためです(民法675条)。
問誰かが抜けたい、連絡が取れない、亡くなった場合は、どうしたいですか。メンバーに未成年者はいますか。
理由予告期間、精算の基準日、作品と在庫の行き先は事前でないと決めにくく(民法678条、679条、681条)、未成年者の契約は取り消せるため同意の記録が要るためです(5条)。
起きがちなこと
| 起きがちなこと | 原因 | 契約書での備え |
|---|---|---|
| 共同作品を一人がグッズにしようとして、他のメンバーが反対する | 共有部分の許諾の手順がない | 許諾の合意、代表者、決まらないときの出口 |
| 利益を分けようとしたら、費用の考え方が人によって違う | 控除する費用と立替の精算が書かれていない | 費用の別表、上限、精算、明細の様式 |
| メンバーが抜け、作品の販売と在庫で争う | 脱退のルールと公開済みの作品の行き先がない | 予告期間、精算の基準日、販売継続と在庫の処理 |
| サークル名のアカウントが、抜けた人の名義のまま残る | 名義と引継ぎを決めていない | 名義の一覧と、権限の返却 |
共同制作は、続いている間は問題が見えにくく、関係が変わるときにいっせいに表に出ます。収益が大きくなったとき、誰かが離れるとき、外部から企画の話が来たときが、合意書を整える時期の目安です。
よくあるご質問
共同で作った作品の著作権は、共有になりますか。
共同で作ったからといって共有になるとは限りません。二人以上が共同して創作し、各人の寄与を分離して個別に利用することができないものが共同著作物で、その著作権は共有になります(著作権法2条1項12号)。合同誌の各ページのように、担当部分を分けて利用できる場合は、各自の著作物です。契約書では、担当表を作り、部分ごとに権利の持ち方を書いておきます。
共有の著作権を、共有者の一人が単独で許諾してもよいですか。
共有著作権は、共有者全員の合意がなければ行使できません(65条2項)。第三者への利用の許諾も、行使にあたると考えて契約を作るのが安全です。ただし、各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることはできません(同条3項)。窓口になる代表者を定めること(同条4項、64条3項)や、決まらないときの出口を、契約に書いておきます。
収益の分配は、売上と利益のどちらを基準にすればよいですか。
費用を各自が自分で負担しているなら売上、費用を共同で出して頒布するなら利益が向きます。利益を基準にするときは、控除する費用の範囲、上限、事前の合意、立替の精算を別表に書きます。費用の範囲に調整の余地があると、割合が公平でも取り分が運用で変わります。計算例は本文の三人の合同作品集で示しています。
契約書に書かなかったとき、民法は損益の分け方をどう決めますか。
組合と見られる関係では、損益の分配の割合を定めなかったときは、出資の価額に応じて定まります(民法674条1項)。出資に差があるのに折半で足りるのかを、事前に確認します。解散のときの残余財産も、標準では出資の価額に応じて分割します(688条3項)。
途中でメンバーが抜けたら、公開済みの作品はどうなりますか。
公開済みの作品は、契約に定めがなければそのまま残ります。販売を続けるか、在庫をどうするか、脱退者の担当部分と名前の表示をどうするかを、契約で決めておきます。脱退者の担当部分の改変は、著作者の意に反する改変を受けない権利に配慮します(著作権法20条)。氏名の表示は著作者が決める権利があります(19条)。組合と見られる関係の精算は、脱退の時の財産の状況によります(民法681条)。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な条項は、制作物の種類、納品の形、報酬の決め方、相手方が事業者か個人かによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 文化庁 著作権 / 公正取引委員会 / 特許庁